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各人権条約に基づく個人通報制度の即時導入及びパリ原則に準拠した政府から独立した国内人権機関の設置を求める決議2013年(平成25年)5月24日

第1 決議事項

当会は,わが国における人権保障を推進し,国際人権基準の実施を確保するため,国際人権規約をはじめとする各人権条約に定める個人通報制度の導入及び国連の「国内人権機関の地位に関する原則(パリ原則)」に合致した,真に政府から独立した国内人権機関の設置を政府及び国会に対して強く求める。

第2 提案理由

1 個人通報制度について

国際人権(自由権)規約などの各人権条約は,締約国における国際人権基準実施のため,個人通報制度を採用している。個人通報制度とは,各人権条約に保障された人権が侵害され,国内での法的手続きを尽くしてもなお人権救済が実現しない場合,被害者個人等が各人権条約の定める国際機関に通報し,救済を求める制度である。
 日本は,国際人権(自由権)規約,女性差別撤廃条約,拷問等禁止条約,人種差別撤廃条約などの人権条約を批准している。そして,国連自由権規約委員会からは,1993年,1998年,2008年と3回も個人通報制度を求める国際人権(自由権)規約の第一選択議定書批准を勧告され,女性差別撤廃委員会,拷問等禁止委員会,人種差別撤廃委員会等からも個人通報制度の受け入れを強く勧告されている。しかし,未だに個人通報制度を導入していない。
 残念ながら,日本の裁判所は,人権保障条項の適用について積極的とはいえず,民事訴訟法の定める上告の理由には国際条約違反が含まれず,国際人権基準の国内実施が極めて不十分となっている。
 そこで,各人権条約における個人通報制度が日本で実現すれば,被害者個人が各人権条約上の委員会に見解・勧告等を直接求めることが可能となり,日本の裁判所も国際的な条約解釈に目を向けざるを得ず,その結果として,日本における人権保障水準が国際基準にまで前進し,また,憲法の人権条項の解釈が前進するなどの著しい向上が期待される。

2 国内人権機関の設置について

国連決議及び人権諸条約機関は,国際人権条約及び憲法などで保障される人権が侵害され,その回復が求められる場合には,司法手続よりも簡便で迅速な救済を図ることができる国内人権機関を設置するよう求めている。世界では,すでに120か国以上で国内人権機関が設置されている。
 日本に対しては,国連人権理事会,人権高等弁務官等の国連人権諸機関や人権諸条約機関の各政府報告書審査の際に,早期にパリ原則に合致した国内人権機関を設置すべきとの勧告がなされている。これに対し,日本政府は,本年3月14日の国連人権理事会で,国内人権機関の設置勧告をフォローアップすると表明した。
 国内人権機関を設置する場合,1993年12月の国連総会決議「国内人権機関の地位に関する原則」(いわゆる「パリ原則」)に沿ったものである必要がある。具体的には,法律に基づいて設置されること,権限行使の独立性が保障されていること,委員及び職員の人事並びに財政等においても独立性が保障されていること,調査権限及び政策提言機能を持つことが必要とされている。
 この点,現在,日本には,法務省人権擁護局の人権擁護委員制度があるものの,独立性等の観点から極めて不十分な制度である。日本政府が昨年11月に国会に提出した「人権委員会設置法案」も,独立性の確保が不十分である等の問題点が指摘されてきた。
 人権侵害からの救済と人権保障を推進するため,パリ原則に沿った新しい人権救済機関が早急に設置されるべきである。

3 結論

当会は,日本における人権保障を推進し,また,国際人権基準を日本において完全実施するための人権保障システムを確立するため,国際人権規約をはじめとする各人権条約に定める個人通報制度を直ちに採用し,パリ原則に合致した真に政府から独立した国内人権機関を速やかに設置することを政府及び国会に対して強く求めるものである。

2013年(平成25年)5月24日
岐阜県弁護士会
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