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「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案」の見直しを求める声明
2002年(平成14年)5月30日

政府は、今国会に、「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案」(以下「法案」という。)を上程した。しかし、この法案には、少なくとも以下の点で問題がある。
1 個人情報の収集制限を明記した規定がない。
 法案3条1項は「保有するに当たっては」という曖昧な表現になっていて,収集制限規定としては極めて不十分である。少なくとも、収集手段の適法かつ公正性の原則、センシティブ情報の収集の原則禁止,直接収集の原則などを明記すべきである。
2 行政機関等による目的外利用を広く認めている。
 法案3条3項では,利用目的の変更を「変更前の利用目的と相当の関連性を有すると合理的に認められる範囲」で認めているが,「相当の関連性」の有無を判断するのは当該行政機関であるから,その判断は確実に甘くなり,「相当の関連性」は個人情報の拡散の歯止めにならない。本人の同意を要件とするか,少なくとも本人への通知を要件とすべきである。
3 安全確保義務違反に対する罰則がない。
 国家公務員法,地方公務員法では公務員の守秘義務を規定しているが,これらは対象を異にしているし、その法定刑も軽過ぎる(国公法100・109条,地公法34・60条)。法案に義務違反に対する罰則の規定を設けるべきであるし、法定刑もその罪質からして厳格にすべきである。
4 非開示事由が広範にわたっている。
 個人情報保護は、結局自己情報をどれだけ自分がコントロールできるかという問題でもあり、自分に関する情報の開示も重要なことである。
 ところが,法案14条では、行政機関が本人からの開示請求を拒否できる事由を広く規定しているし、その規定の仕方が抽象的である。その結果、かなり広範に非開示にされるおそれがある。
5 不服申立も裁判も東京だけにしか認められない。
 審査会は東京に1つ置くだけであり、不服申立の意見陳述が東京だけでしかできない。また、法案には裁判管轄に関する明示の規定がないため、行政事件訴訟法12条1項の規定により東京地方裁判所だけということになる。地方在住者にとっては、事実上、不服申立も提訴もできなくなってしまい、不合理である。

 このように、「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案」には,個人情報保護の観点から重要な問題があるので,根本的な見直しを求めるものである。

2002年(平成14年)5月30日
岐阜県弁護士会
会長 河合 良房
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