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人権擁護法案に対する会長声明
2002年(平成14年)6月7日

政府は、平成14年3月8日、新たな人権救済機関の設置を盛り込んだ人権擁護法案を閣議決定し、同日法案を国会に提出し、同法案は、現在審議が始まっている。
 しかしながら、この法案は、以下のとおり、人権救済には不十分である上、国民の知る権利及び報道の自由を侵害するおそれが強いものである。

1 今回提出された法案は、新たな人権救済機関として、人権委員会を独立行政委員会として設置するものであるが、人権委員会は、法務省の外局とされ、法務大臣が所轄するうえ、必要十分な数の専任職員を置かず、その事務を地方法務局長に委任するものである。
 これでは、過去に人権侵害の救済を求める対象として相手方とされた刑務所、拘置所及び入国管理局、あるいはそれに係わる国賠訴訟の代理を務める訟務部を所管する法務省の強い影響下におかれることは歴然としており、独立性は担保されておらず、人的面においても実効ある機関としての活動を期待しえない。

2 法案では、労働分野における差別や退職強要・いじめ等の人権侵害についての問題は、厚生労働省の紛争解決機関に委ね、特別人権調査などの権限は厚生労働大臣(船員については国土交通大臣)にあるものされる。
 しかし、これら労働分野における人権侵害のみ人権委員会から切り離す理由はなく、この分野における独立性ある救済機関の設置が考慮されていない。

3 独立性の保障が担保されていない人権委員会が、報道機関等に対して調査を行い、取材行為の停止等を勧告する権限を有することは、民主主義に不可欠である国民の知る権利及び報道の自由を侵害するおそれが強く極めて問題である。

 よって、岐阜県弁護士会は、人権擁護法案に定める人権委員会が人権救済機関として独立性が不十分であること、また同法案は、国民の知る権利及び報道の自由を侵害するおそれが強く極めて問題であることから、同法案について根本的な見直しを行うことを求めるものである。

2002年(平成14年)6月7日
岐阜県弁護士会
会長 河合 良房
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