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有事法制三法案に反対する会長声明
2003年(平成15年)5月24日

5月15日の衆議院本会議において、政府提出の有事法制三法案は与党と民主党の修正合意を踏まえて、修正のうえ賛成多数で可決された。
当会は、既に昨年5月30日付の会長声明において、政府提出の有事法制三法案は、憲法の基本原則(国民主権、基本的人権尊重、平和主義、地方自治の本旨尊重)に照らし様々な問題があるので廃案にすべきであると主張してきた。
この修正案は、欠陥の大きかった政府案と比べれば、基本的人権の保障と国会による民主的統制をより強化したものであり、当会が指摘していた問題点にある程度応える内容となっている。
しかし、肝心な「武力攻撃予測事態」の定義や範囲は曖昧なままであり、「予測事態」と周辺事態法でいう「周辺事態」の異同や、武力攻撃事態対処法と周辺事態法がどう連動するのかは依然として不明確である。また、有事認定の客観性も十分に担保されていない。さらに、国会による事前の民主的コントロールも確保されていない。有事における首相の地方公共団体や指定公共機関に対する指示権・代執行権は、当面凍結されたものの何ら変更がなく、有事において民主的な統治機構や地方自治を維持することができるのかという疑問は払拭されていない。民放を含むメディアが有事に政府の統制下に置かれる危険性も完全には排除されていない。
したがって、修正案にはなお憲法上多くの重大な問題点が存在し、当会が指摘してきた基本的人権を侵害する危険性は解消されていない。
しかも、今回の修正は、自由民主党と民主党の衆議院有事法制特別委員会理事の間の密室での協議によって政府案の修正を合意し、それにもとづいて僅か数時間の同委員会審議と衆議院本会議での審議で可決された。言うまでもなく、有事法制法案は、わが国の進路を決定し、国民の生命と安全そして基本的人権に大きく関わる重要法案である。このような憲法原理にかかわる重要法案が、十分な国民的議論も国会審議もないままに可決され成立してしまうことは民主主義にも反することである。
 よって、当会は、有事法制三法案は、憲法の諸原理に抵触する重大な疑問・疑義が存するので、基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする弁護士の役割に鑑み、重ねて有事法制三法案の制定に反対し、同法案の廃案を求めるものである。

2003年(平成15年)5月24日
岐阜県弁護士会
会長 安藤 友人
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