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死刑執行に関する会長声明
2008(平成20)年4月16日

本年4月10日、東京拘置所で2名、大阪拘置所で2名の合計4名の死刑確定者に対して死刑が執行された。本年2月の3名に対する死刑執行後わずか2か月という短期間に執行されたものである。
 国連は1989年12月に死刑廃止条約を採択し、また国連人権委員会(2006年国連人権理事会に改組)が1997年以降毎年「死刑廃止に関する決議」を行い、その決議の中で日本などの死刑存置国に対して「死刑に直面するものに対する権利保障を遵守するとともに、死刑の完全な廃止を考慮するよう求める」旨の呼びかけを行った。こうした状況の下で、死刑廃止国は着実に増加し、2007年12月現在、死刑存置国62か国に対して、死刑廃止国は135か国(法律で廃止している国と過去10年以上執行していない事実上の廃止国を含む)と、存置国を大きく上回っており、死刑廃止が国際的な潮流となっている。
 また、昨年5月18日に示された国連の拷問禁止委員会による日本政府報告書に対する最終見解・勧告において、我が国の死刑制度の問題が端的に示された上で、死刑の執行を速やかに停止すべきことが勧告された。
 さらに、昨年12月18日には、国連総会本会議において、全ての死刑存置国に対して死刑執行の停止を求める決議が圧倒的多数で採択された。また、この決議に先立ち、同月7日、国連人権高等弁務官から我が国における死刑執行に対して強い遺憾の意が表明されるという異例の事態が生じた。
 我が国の死刑確定者に対する度重なる死刑執行は、このような国際的な潮流に逆行し、我が国に直接向けられた批判にも耳を傾けないことを宣言するに等しいものであり、誠に遺憾である。
 我が国では、過去に4つの死刑確定事件(免田事件、財田川事件、松山事件、島田事件)について再審無罪判決が確定し、また平成2007年4月には佐賀県内で3名の女性が殺害されたとされる事件(いわゆる北方事件)で死刑を求刑された被告人に対する無罪が確定するなど、死刑事件にも誤判や、誤った訴追がなされることが明らかになった。このような過誤を生じるに至った制度上、運用上の問題点について抜本的な改善が図られていない現状では、誤った死刑の危険性が依然として存在する。また、死刑と無期の量刑についても、裁判所によって判断の分かれる事例が相次いで出されており、死刑についての明確な基準が存在しない。
 日本弁護士連合会は、2002年11月に発表した「死刑制度問題に関する提言」及び2004年10月に採択された「死刑執行停止法の制定、死刑制度に関する情報の公開及び死刑問題調査会の設置を求める決議」において、死刑制度の存廃につき国民的議論を尽くし、また死刑制度に関する改善を行うまでの一定期間、死刑確定者に対する死刑の執行を停止する旨の時限立法(死刑執行停止法)の制定を提唱してきた。
 今、我が国に求められているのは、死刑の執行を急ぐことではなく、国際的な動向も踏まえた冷静で開かれた議論を行うことである。特に、来年5月21日から開始される裁判員制度の下では、裁判員が死刑を含む量刑判断に参加することになることからも、死刑制度の運用と実態を国民が正確に知り、死刑制度の存廃について国民的議論を尽くすことの重要性はますます高くなっていると言わなければならない。
 よって、当会は、政府に対し、死刑制度の存廃につき国民的議論を尽くし、死刑制度に関する改善を行うまでの一定期間、死刑の執行を停止するよう強く求めるものである。

2008(平成20)年4月16日
岐阜県弁護士会
会長 幅 隆彦
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