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商品先物取引法下における不招請勧誘禁止緩和に抗議する会長声明2015年(平成27年)2月9日

経済産業省および農林水産省は、2015年(平成27年)1月23日、商品先物取引法施行規則の一部を改正する省令(以下「本省令」という。)を定めた。
 当会は2014年(平成26年)4月5日付けで公表及び意見募集がなされた商品先物取引法施行規則案に対し、同月30日付け会長声明で反対する意見を表明した。本省令は、当初の公表案を若干修正し、同規則第102条の2を改正して、ハイリスク取引の経験者に対する勧誘以外に、顧客が65歳未満で、一定の年収若しくは資産を有する者である場合に、顧客の理解度を確認するなどの要件を満たした場合も不招請勧誘の禁止の例外として盛り込んだものである。
 しかし、上記の要件を満たすかどうかの顧客の適合性の確認は勧誘行為の一環としてなされるものであるから、本省令は、商品先物取引契約の締結を目的とする勧誘を不招請でおこなうことを許容するものというほかなく、実質的に不招請勧誘を解禁するものである。
 商品先物取引法214条9号は、商品先物取引法施行令30条で規定されるハイリスクな商品先物取引契約に対し、そのハイリスク性ゆえに、定型的に、不招請勧誘を禁止している。
 にも関わらず、本省令は、法律で禁止された不招請勧誘規制を、それよりも緩やかな別の勧誘規制(年齢、所得資産要件等の確認義務付け)で置換え、実質的に不招請勧誘を解禁しており、本省令は、法律の委任の範囲を超える違法なものであり、省令によって法律の規定を骨抜きにするものと言わざるを得ない。本省令の規定は、透明かつ公正な市場を育成し、委託者保護を図るべき監督官庁の立場と相容れないものである。
 さらに、委託者に年収や資産の確認の方法として申告書面を差し入れさせたり、書面による問題に回答させて理解度確認を行う等の手法は、いずれも、現在に至るまで、多くの商品先物取引業者が事実上同様の手法をとっているものであるが、その中で業者が委託者を誘導して事実を異なる申告をさせたり、正答を教授するなどの行為を行い、委託者に多くの被害を与えていることは過去の多くの裁判例をみても明らかである。これらの手法が委託者保護のために機能するものとは到底評価することはできない。
 そもそも、商品先物取引法における不招請勧誘を禁止する規定は、長年、同取引による深刻な被害が多発し、度重なる行為規制強化の下でもなおトラブルが解消しなかったため、与野党一致のもと、2009年(平成21年)7月に法改正の上、導入された経緯がある。(2011年(平成23年)1月施行)。しかし、その後においても、商品先物取引業者が、同規定を潜脱して、個人顧客に対し、金の現物取引やスマートCX取引(損失限定取引)を勧誘して接点を持つや、すぐさま通常の先物取引を勧誘し、多額の損失を与える被害が少なからず発生しているとの実情がある。
 上記のとおりであり、本省令は、立法経緯及び被害実態を軽視し、商品先物取引の不招請勧誘を事実上解禁するものであり、消費者保護の観点から到底許容できず、経済産業省及び農林水産省が本省令の改正をあえて強行したことに対し、当会は強く抗議をする。

2015年(平成27年)2月9日
岐阜県弁護士会
会長 仲松 正人
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