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「テロ等組織犯罪準備罪」の創設に反対する会長声明
2016年(平成28年)12月 5日

1 政府は、いわゆる共謀罪を「テロ等組織犯罪準備罪」と名称を改めてとりまとめ、次期通常国会に提出する旨報じられている。
 2 共謀罪は、何ら実行行為がなくとも、共謀が成立しただけで処罰するというものであり、共謀そのものを実行行為とする。しかし、現行刑法は法益の保護を目的とするものであり、法益侵害ないしその可能性がなければ原則として刑罰の対象としていない。すなわち、現行刑法は刑罰の対象を既遂に限定し、一部の犯罪のみを例外的に未遂で処罰し、さらに一部の重大犯罪のみを予備で処罰するという体系をとっている。共謀罪は、法益侵害の可能性がない共謀段階でも処罰するというものであり、現行刑法の原則に大きく反するものである。
 3 かかる理由から、共謀罪は、2003年、2004年、2005年の3回にわたって国会に法案が提出されたが、強い反対の声のもといずれも廃案になった。当会も2006年4月20日に、反対する会長声明を発出した。
 4 今般、政府は適用対象を「組織的犯罪集団」と限定し、その定義について「目的が4年以上の懲役・禁固の罪を実行することにある団体」とした。また、犯罪の「遂行を2人以上で計画した者」を処罰することとし、その処罰にあたっては、計画をした誰かが「犯罪の実行のための資金又は物品の取得その他の準備行為が行われたとき」という要件を付した。このように、今般の「テロ等組織犯罪準備罪」は従前廃案となった共謀罪より適用範囲が限定されているようにも思える。しかし、「組織的犯罪集団」や「準備行為」の定義・概念はあいまいであり、適用範囲が限定されたとは言い難い。とりわけ「準備行為」については、「その他の準備行為」という包括的な文言が付されており、きわめて些細な準備行為であっても含まれる余地がある以上、結局は、合意のみで処罰が可能という共謀罪の危険性を何ら限定していない。このようなあいまいな共謀罪が成立してしまうと、政治的な発言や相談、会議等が広く捜査の対象とされる可能性があり、憲法が保障する思想・信条の自由や表現の自由、集会・結社の自由などの人権が侵害され、またこれらの権利行使に対する強い萎縮効果が生じかねない。
 このような現行刑法の原則に違反し、憲法が保障する人権を侵害する危険性をはらむ「テロ等組織犯罪準備罪」の創設について、当会は強く反対するものである。

2016年(平成28年)12月 5日
岐阜県弁護士会
会長 畑   良 平
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