まちの法律サロン(月刊ぎふ連載中)浦田益之会員

(2)裁判員制度の評価はどうか その2- マスコミ報道の対応は -

Q マスコミの事件報道に影響されないといえますか

A 回答

裁判官だって、もちろんマスコミの事件報道に接します。
 しかし、日頃の訓練ができていて、裁判官には、法廷に現れた証拠だけで事実の有無を判断するという習性が身についているのです。法廷外での反対尋問の機会にさらされていない報道は、そのまま信じる訳にはいかないということになります。
 これが裁判員となると、どうでしょうか。日本では警察の発表や新聞・テレビの報道への信頼度が高く、報道内容が間違いのない事実だと受け取られる傾向がみられ、公正であるべき裁判に予断を与えてしまう心配はあります。
 ここで知っておくべきことは、警察発表には事件による社会不安を鎮める、同種犯罪の予防に役立てる、犯人を追いつめると共に証拠集めを狙うなどの目的があり、捜査活動の一環にもなっていることです。一つの対策として、対象事件について、利害関係を持っていたり、非難や支持する意見のある裁判員は、候補者からの選定に当たって、裁判官、検察官、弁護人からチェックを受け排除される仕組みが作られています。

Q 報道のあり方は規制できないのですか

A 回答

報道の自由は保障されなければならず、事件の社会的背景を探り、それが持つ意味を説き明かす報道や解説などは極めて有用ですらあります。
 しかし、捜査情報がすべて事実であるかの如く報じたり、これに被疑者の自供をかぶせたり、不合理な弁解を繰り返しているなどとして、「容疑者イコール犯人」の印象を刷り込ませる内容のものは、行き過ぎといえます。
 前科、前歴、生い立ちや対人関係等に関する報道にしても、有罪の前提に立っており、刑事裁判の基本というべき「無罪推定の原則」が歪められているのが実情です。
 マスコミの側の対応はまだまとまってはいませんが、「報道の自由」、「公正な裁判」、「予断の排除」という原則ないしは理念が両立できる自主ルールを是非ともその業界で作ってもらわなければなりません。


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