まちの法律サロン(月刊ぎふ連載中)浦田益之会員

(3)裁判員制度の評価はどうか その3- 被告人の黙秘権 -

Q 被告人の黙秘権が危うくなりませんか

A 回答

黙秘権は憲法で保障されている、侵されることがあってはならない被告人の権利です。
 被告人(被疑者)は、国家権力の発動としての捜査、起訴、公判を受ける弱い立場に置かれることになるので、黙秘権は、弁護人選任権と並んで、公正な裁判を受けるうえで極めて重要な役割を果たしています。被告人には、単に取調べの対象とされるだけでなく、訴追側の検察官に対する裁判の一方の当事者としての地位があります。
 民事裁判では、もともと対等の立場の者が私的な利害をめぐって相い争うことになり、刑事裁判とは全く様相が異なります。こうして、自己に不利益な供述を強制することは禁止されており、被告人が、理由を示さず黙秘したからといって、不利な扱いをすることは許されていません。
 裁判員は、裁判長から被告人に黙秘権があることや、黙秘したときの扱いをどうするかについて、分かりやすく説明を受けますが、それが裁判員の感覚とマッチするかの問題が残っています。
 「人は常に正直であれ」とするのは、普遍の教えといえますが、我が国には、江戸幕府が社会秩序のため儒教の精神やその思想を尊重する施策を講じたことから、仁、義等の人倫道徳が重んじられるようになり、その影響が現代に至るまで色濃く続いています。正直に話すことが美徳となり賞賛される訳です。嘘をつくのと黙秘するのとでは意味合いが違いますが、被告人が何の理由も告げずに、ただ「黙秘します」といい切る場面に出くわしたとき、裁判員、特に年輩の裁判員は、ギャップを感じて戸惑うこともあるように思われます。

Q 覆面裁判では被告人は納得しますか

A 回答

裁判員に限り、その氏名は一切明らかにされることがないので、被告人が判決の結果をどう受け取るのかも一つの問題です。裁判員は、事実の認定に加え、量刑においても一定の条件を除くと、裁判官と同格で評議に参加することになりますので、どこの誰か分らない者に裁かれたとする批判もあながち無視できません。


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