まちの法律サロン(月刊ぎふ連載中)浦田益之会員

(4)裁判員制度の評価はどうか その4- 黙秘権について -

Q 黙秘権の告知は誰がするのですか

A 回答

裁判員が参加する合議体では、裁判長が被告人に、沈黙し、個々の質問について陳述を拒むことができる旨告げることになります。
 黙秘権は、一般の間でも正しく理解されていないのと、刑罰権を行使する裁判長が告知する現行法の定めは一考を要します。
 処罰を受けたり信頼を失うのを恐れて、自分の悪事を話さないのは、「人間としての弱さ」の現れで、一概に責めることはできません。その弱さを認めたうえで、個人の内心に権力が介入しないとしたルールが黙秘権の保障になります。
 不利益な事実を告白することは、対等の仲間うちでは、人間の弱さを克服した勇気に対して賞賛が与えられ、黙り続けていても、対人関係の破壊を招き評価されなくなるだけであり、あくまでモラルの問題として処理される訳です。
 被告人(被疑者も同じ)の場合は、その相手は刑罰を加える国家で、罪を認め自白したのみでは許してくれたりはしません。正直に話せと強制するのは権力が被告人の内心に立ち入る結果になり、モラルの問題と区別して理解する必要があります。その違いを考えたとき、誰に黙秘権を告知させるかは一つの問題提起になります。

Q 黙秘権教育が必要になりませんか

A 回答

裁判員が黙秘権の意義を正しく理解していないと、この制度の成否にも影響します。司法教育、なかでも黙秘権教育が満足になされていないからです。
 アメリカでは、高校三年生を対象に、「ミランダの警告」を教えています。
 ミランダルールとは、1966年、連邦最高裁が自白を得るための拷問がいかに文明に恥じる蛮行に当たるかを説き、▽被疑者は取調べに弁護人の立会いを求めることができ、▽立会いなり相談を求めたら取調べを中断しなければならず、▽これに反して作成された供述調書は証拠として採用しないなどの判断を下しており、黙秘権の保障を図ったものとして、極めて重要な役割を果たしています。


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