詐欺被害の解決を弁護士に依頼する際にはご注意下さい。
近年、国際ロマンス詐欺・投資詐欺・副業詐欺などを取り扱うという、弁護士による広告が、インターネットを中心に増加しています。
その中には、現実には解決が困難な事案について、過度な期待や誤解を与え、二次被害につながるものがあるため、注意が必要です。
具体的には、依頼をしたのに事件処理の報告がない、進捗状況や今後の見通しについて弁護士に説明を求めているのに対応がない(事務員としか話をすることができず、弁護士に取り次いでもらえない)、高額回収ができると説明を受けていたのに着手金にも満たない金額しか回収できず、費用倒れになったなどの事例が、多数、報告されています。
特に、次のような場合、弁護士への依頼は慎重に検討する必要があります。
1 所属弁護士が1人しかいないのに、24時間365日対応と表示されている。
法律相談、事件の見通しの説明、着手金・報酬金を含む委任契約の内容の決定などは、本来、弁護士が行うべき業務です。
1人の弁護士が、24時間365日、これらの対応を行うことは極めて困難であるため、本来、弁護士が行うべき業務を、事務員が行っている可能性が高いと言えます。
実際、弁護士へ依頼した後、弁護士と話をしたいと要求しても、事務員が弁護士に取り次いでくれないという事例が、多数、報告されています。
2 確実、又は高い確率で被害の回復が可能であると受け取れる表示がある。
一般的に、国際ロマンス詐欺・投資詐欺・副業詐欺などの回復は、容易ではないと考えられています。なぜなら、次のような場合が大多数だからです。
・やり取りをした人とお金を振り込んだ口座の名義人が違うため、口座名義人から詐欺をした人にたどり着くことができない。
・振り込みなどではなく、「アマゾンギフトカード」などを購入して、コードの部分を写真に撮影して送る等の指示が出されていて、そもそも、追跡が不可能である。
・お金を振り込んだ口座を凍結しても、口座にほとんど預金が残っていない場合が多い(詐欺をする側も、口座凍結の可能性を常に警戒しているため、振り込まれたお金はすぐに引き出す、移動するなど、対策をとっていると考えられる。)。また、預金が残っていたとしても、他にも被害者がいる場合には、分配することになるため、預金全額を自分の被害回復に充てられるわけではない。
・詐欺の加害者を特定できたとしても、海外在住であるなどの理由により、交渉や訴訟を起こすことが極めて難しい、又はコストに見合わない。
3 弁護士と一度もやり取りをしていないのに、委任契約を結ぶと言われた。
弁護士が依頼を受ける場合、①弁護士本人が依頼者から具体的な事情を聴き取り、②事件の見通しを示し、③着手金・報酬金の金額や算定方法を含む委任契約の内容を十分に説明してから、依頼を受ける必要があります。
このようなやり取りを、全て事務員が行っている場合、事件の処理も弁護士ではなく事務員が行っている可能性があり、弁護士による適切な事件処理が期待できるとは思われないため、委任契約を結ぶことには慎重になる必要があります。
委任契約を結べば、決して安価とは言えない金額を弁護士に支払うことになるわけですから、弁護士本人から十分な説明を受け、依頼者自身が十分に納得できてから、委任契約を結ぶことが大切であると言えます。
なお、電話相談、メール相談、LINE相談など、弁護士と直接対面しない形の相談である場合、弁護士本人が対応していない可能性があるため、注意が必要です。
アクセス
岐阜県弁護士会
〒500-8811
岐阜市端詰町22番地
TEL:058-265-0020
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