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全面的国選付添人制度の実現を求める会長声明

2010.07.27

少年審判手続きにおいて、弁護士は、「付添人」という立場で、裁判所の事実認定や処分決定が適正に行われるよう少年に対し必要な法的援助を行い、また家庭や学校等の環境調整を行うなど少年の立ち直りを支援する活動を行っている。心身ともに未成熟であり、また取り巻く環境に恵まれていない非行少年に対し、法的な援助・支援を行う弁護士付添人の必要性は極めて高い。とりわけ少年鑑別所で身体拘束を受けた少年は、成育歴や家庭環境に問題を抱えていることが多く、少年院送致等の重大な処分を受ける可能性も高いことから、付添人による法的援助の必要性は非常に高い。わが国が批准している子どもの権利条約37条(d)においても、「自由を奪われた全ての児童は、・・・弁護人(及び)その他適当な援助を行う者と速やかに接触する権利を有する」と規定されているところである。
 しかし、2008年度の統計によれば、少年審判手続きにおける弁護士付添人の選任率は、少年鑑別所に収容されて審判を受ける少年(いわゆる身柄事件)についてさえ約40%に過ぎない。成人の刑事裁判における弁護人選任率が98%であることに比べると、少年に対する法的援助は極めて不十分といわざるを得ない。
 現在実施されている国選付添人制度の対象事件は、検察官関与決定あるいは被害者傍聴の申出がされた事件以外は、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた事件か、死刑または無期若しくは短期2年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪の事件(殺人、強盗等)に限定されており、しかも裁判所が必要と認めた場合に裁量で付すことができる限定的な制度に止まっている。 
 日本弁護士連合会では、身体拘束をされた少年の法的援助を受ける権利を保障するため、時限的な措置として、全会員から特別会費を徴収して少年・刑事財政基金を設置し、これを財源として国選付添人制度の対象とならない事件について少年・保護者に対し弁護士費用を援助する少年保護事件付添援助制度を実施してきた。そして、当会においては2009年6月から身柄事件全件に対する当番付添人制度を実施し、観護措置を取られた少年から当番付添人の希望があった場合は、弁護士が無料で面会に行き、その後の受任についても上記援助制度を利用することによって、少年や保護者が金銭的負担なく付添人を選任できる態勢を整えてきた。しかしながら、少年に対し適正手続きを保障し、更生の支援を行うという法的援助を少年に与えることは、本来、国の責務として行われるべきものであり、弁護士会の財政的負担によって支えられている援助制度に頼るべきものではない。
 よって、当会は、国選付添人制度の対象事件を、少なくとも少年鑑別所で身体拘束を受けた全ての少年の事件に拡大することを強く求める。

2010(平成22)年7月27日
岐阜県弁護士会
会長 山田 秀樹
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