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商品先物取引についての不招請勧誘禁止撤廃に反対する会長声明

2013.11.11

本年6月19日、第183回国会の衆議院経済産業委員会において、証券・金融・商品を一括的に取り扱う総合取引所での円滑な運営のための法整備に関する議論の中で、内閣府副大臣は、「商品先物取引についても、金融と同様に、不招請勧誘の禁止を解除する方向で推進していきたい」と答弁した。
 この答弁は、総合取引所において商品先物取引業者に対して監督権限を有する金融庁が、同取引所における商品先物取引に関する法規制について、不招請勧誘禁止の撤廃を検討していることを示すものであるが、これは、昨年8月に産業構造審議会商品先物取引分科会(以下、「分科会」という。)が取りまとめた報告書に反するものであり、見過ごすことができないものである。
 分科会における議論の際、日本弁護士連合会は、平成24年(2012年)4月11日付け「商品先物取引についての不招請勧誘規制の維持を求める意見書」を公表し、①商品先物取引についての不招請勧誘規制は、これまでの同取引における悪質かつ深刻な被害状況に鑑み、被害件数が減少してもなお相当数の被害が存在する限り、同規制が必要であるという趣旨から導入されものであり、同取引に関する苦情件数の減少は、同規制見直しの根拠とならないこと、②不招請勧誘規制の導入は、深刻かつ悲惨な被害を生じさせた商品先物取引業者の営業姿勢によるものであり、同業者の悪質な営業行為がなくなったといえる状況が確認されない限り、取引所取引の透明性・公正性という観点や、同取引における証券・金融デリバティブと商品デリバティブとの間の法規制がアンバランスであるという観点をもって、商品先物取引における不招請勧誘規制を緩和すべきではないこと、③外国為替証拠金取引の例からもわかるように、不招請勧誘規制の存在が市場の活性化を阻害するものとは言えないこと、④不招請勧誘規制が導入された2011年1月以降も、商品先物取引業者が、同規制を潜脱して、専門知識のない一般消費者を取引に巻き込んで損害を被らせた事例が何件も判明しており、同業者が未だに従来と同様の手法・姿勢で営業を行っていると見られる事例が何件もあったことなどを理由に挙げ、商品先物取引についての不招請勧誘規制の維持を主張している。
 その後、取りまとめられた分科会の報告書においても、「不招請勧誘の禁止の規定は施行後1年半しか経っておらず、これまでの相談・被害件数の減少と不招請勧誘の禁止措置との関係を十分に見極めることは難しいため、引き続き相談・被害の実情を見守りつつできる限りの効果分析を試みていくべきである」、「将来において、不招請勧誘の禁止対象の見直しを検討する前提として、実態として消費者・委託者保護の徹底が定着したと見られ、不招請勧誘の禁止以外の規制措置により再び被害が拡大する可能性が少ないと考えられるなどの状況を見極めることが適当である」とされ、商品先物取引についての不招請勧誘規制を維持することが確認されたのである。
 このように、商品先物取引についての不招請勧誘規制の問題は、昨年分科会の議論において規制を維持することが確認された経緯があるにもかかわらず、それからわずか1年後の現時点において、何らの検証もされないまま、同規制を撤廃する方向で検討を行うことは極めて不適切である。
 以上から、総合取引所の下でも、商品先物取引についての不招請勧誘禁止は維持されるべきであり、当会は、禁止撤廃に強く反対する。

2013年(平成25年)11月11日
岐阜県弁護士会
会長 栗山 知
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