会長挨拶平成28年度 岐阜県弁護士会 会長 畑 良平
岐阜県弁護士会のホームページをご覧頂き、ありがとうございます。
私は、平成28年度の岐阜県弁護士会会長の畑良平です。
私たち弁護士は,「基本的人権を擁護し,社会正義を実現すること」を使命としています(弁護士法1条1項)。この使命を果たすべく,岐阜県弁護士会には,人権擁護委員会,高齢者・障がい者の権利擁護センター,子どもの人権センター,DV・犯罪被害者支援センター,消費者問題救済センター等多様な分野で約30の委員会が存在し,活発に活動しています。
すなわち,高齢者・障がい者,並びに子どもの権利擁護活動,DV等被害救済,悪質商法等による消費者被…
「テロ等組織犯罪準備罪」の創設に反対する会長声明
1 政府は、いわゆる共謀罪を「テロ等組織犯罪準備罪」と名称を改めてとりまとめ、次期通常国会に提出する旨報じられている。
2 共謀罪は、何ら実行行為がなくとも、共謀が成立しただけで処罰するというものであり、共謀そのものを実行行為とする。しかし、現行刑法は法益の保護を目的とするものであり、法益侵害ないしその可能性がなければ原則として刑罰の対象としていない。すなわち、現行刑法は刑罰の対象を既遂に限定し、一部の犯罪のみを例外的に未遂で処罰し、さらに一部の重大犯罪のみを予備で処罰するという体系をとっている。共謀罪は、法益侵害の可能性がない共謀段階でも処罰すると…
成年後見制度の利用の促進に関する法律に対する会長声明
1 2016年4月8日、第190回通常国会において、成年後見制度の利用の促進に関する法律(以下「法」という)が成立し、これに基づく民法の一部改正が行われた。
2 同法は、成年後見制度が、認知症、知的障害その他の精神上の障害があることにより、財産の管理や日常生活に支障がある者を支える重要な手段であるにも関わらず、十分に利用されていないことに鑑み、成年後見制度の利用の促進に関する施策を、総合的かつ計画的に推進することを立法趣旨にしている。
超高齢社会がますます進んでいく中で、認知症高齢者もさらに増加していくこと、知的障害者や精神障害者の親亡き後の問題…
憲法に緊急事態条項を創設することに反対する会長声明
1 2012(平成24)年4月に自民党が公表した日本国憲法改正草案(以下「自民党改憲草案」という。)には、緊急事態条項(第98、99条)が盛り込まれている。しかし、以下に述べるように、かかる緊急事態条項は、立憲主義の趣旨に反するものである。
2 自民党改憲草案の緊急事態条項は、いわば行政に立法権を付与するものであり、国民主権・議会制民主主義・権力分立という憲法秩序が停止されることにより、政府への権力の集中と強化をもたらし、その結果、権力の濫用により国民の自由や権利が侵害される危険性が高い。加えて、緊急事態条項があるために、裁判所の違憲立法審査権による…
消費者庁・国民生活センター・消費者委員会の地方移転に反対する会長声明
政府は、「まち・ひと・しごと創生本部」に「政府関係機関移転に関する有識者会議」(以下「有識者会議」という)を設置し、本年3月には基本方針を決定することとしている。その中で、徳島県からの提案を受け、消費者庁の全部(内閣府消費者委員会を含む)と国民生活センターの全部を同県に移転することが検討されている。
しかし、当会は、以下の理由により、消費者庁、国民生活センター及び消費者委員会の地方移転に反対する。
1 はじめに
政府関係機関を地方に移転する取り組み自体は、地方の活性化等に資する場合もあると思われ、当会としては、そのような取り組みの全てに反対する…
司法修習生に対する給付型の経済的支援を求める会長声明
司法制度は、社会に法の支配を行き渡らせ、市民の権利を実現するための社会的インフラであり、司法修習は、この司法制度を担う人材を育成する制度である。
したがって、有為な人材の確保が不可欠であり、経済的な理由で法曹となることを断念することがないよう公費をもって養成することが重要である。
わが国では、こうした司法修習制度の重要性に鑑み、終戦直後から司法修習生に対して給与が支払われてきたが、2011年11月から給費制が廃止され、修習資金を貸与する制度(貸与制)に変更された。
近時、法曹を目指す者は、年々減少の一途をたどっているが、この原因の一つとして経…
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