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地区計画への暴力団事務所建築制限導入推奨の提言(第78回民事介入暴力対策岐阜大会)

2013.07.12

今後,地区計画が策定される地区や既に地区計画が存在する地区については,暴力団事務所の建築制限を設けることが望まれます。

不動産を暴力団に取得させないための方法の1つとして、「地区計画」に暴力団排除条項を盛り込むという手段をご紹介します。
 地区計画とは、都市計画法に基づく制度ですが、簡潔に言いますと、一定のまとまりを持った「地区」を対象として、その地区の実情や町づくりの方針に沿った、よりきめ細かい規制を行うという制度です。たとえば、一定の手続のもと、地区計画において、当該地区内における建築物について、用途の制限、容積率の最高限度又は最低限度、建ぺい率の最高限度などを定めたりすることができます。
 そして、冒頭にご紹介しました手段とは、建築物の用途制限の1つとして、当該地区内の建築物について、暴力団事務所としての用途を禁じる内容を地区計画に盛り込むというものです。
 さらに、地区計画に定めた用途制限を実効的なものとするため、建築基準法に基づき、地区計画における区域内の建築物に関する制限を条例化します(いわゆる「建築制限条例」や「地区計画条例」という条例です)。この条例を定めることにより、建築確認申請の段階で条例に適合しないものは建築不能となります。また、条例違反が判明した場合には、建物が建築基準法上の制限に違反していることとなるため、建築基準法に基づく違反是正措置の対象となるほか、条例に定められる罰則の対象ともなります。
 既に、このような暴力団事務所の建築制限を設けている地区計画も存在しています。地区計画で暴力団事務所の排除を定めることのメリットとしては、土地所有者の合意をベースとする建築協定よりも広い範囲をカバーすることができることが挙げられます。また、建築協定は地元の運営委員会により運用されるのに対し、地区計画は地方公共団体が執行していくものです。建築協定の運営委員会役員の高齢化等に伴い建築協定にかかる体制の維持が危惧される状況にあるような地区は、地区計画を導入することによって、建築協定の内容との連続性を保つことが可能となります。
 今後、地区計画が策定される地区や既に地区計画が存在する地区については、是非とも暴力団事務所の建築制限を設けることが望まれますし、地区計画に暴力団事務所の排除を盛り込むことによって、当該地域が暴力団排除に関し意識の高い地域であるということをアピールすることができ、暴力団側に対する不動産取得の抑止効果をも期待できると考えられます。

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