えん罪被害者の救済のために、速やかに再審に関する法整備を行うことを求める決議
現在の刑事再審制度には多くの問題がある。過去の事例において、通常審(確定審)で開示されなかった公判未提出記録から、再審開始、そして無罪判決に繋がる証拠が発見された例が複数ある。そのため、えん罪被害からの救済のためには、再審手続の請求人及び弁護人が全ての証拠にアクセスできることが必要不可欠である。しかし、現行法には再審手続における証拠開示に関する規定が存在しないため、検察官は証拠開示に応じようとしないことがある。裁判所も検察官に対しては証拠開示を要請するしか方法がないのが現状である。かかる証拠へのアクセスが制限された状況は、えん罪被害者の救済を困難にする重…
安全保障関連法案に強く反対する総会決議
政府は、今月15日、安全保障関連法案を国会に提出した。国際的な平和協力活動で他国軍を後方支援するために新設する「国際平和支援法案」と、自衛隊法や武力攻撃事態法など既存の10の関連法を一括して改正する「平和安全法制整備法案」の2法案である。これらは、昨年7月1日に集団的自衛権の行使容認などの解釈改憲をした閣議決定に基づくものであり、この閣議決定と同様、憲法第9条の恒久平和主義、国民主権の基本原理、立憲主義の理念に著しく違反するものである。
すなわち、当該関連法案は、日本が攻撃された場合(武力攻撃事態)だけでなく、我が国と密接な関係がある他国が攻撃を受…
各人権条約に基づく個人通報制度の即時導入及びパリ原則に準拠した政府から独立した国内人権機関の設置を求める決議
第1 決議事項
当会は,わが国における人権保障を推進し,国際人権基準の実施を確保するため,国際人権規約をはじめとする各人権条約に定める個人通報制度の導入及び国連の「国内人権機関の地位に関する原則(パリ原則)」に合致した,真に政府から独立した国内人権機関の設置を政府及び国会に対して強く求める。
第2 提案理由
1 個人通報制度について
国際人権(自由権)規約などの各人権条約は,締約国における国際人権基準実施のため,個人通報制度を採用している。個人通報制度とは,各人権条約に保障された人権が侵害され,国内での法的手続きを尽くして…
全面的国選付添人制度の実現を求める決議
第1 決議事項
当会は国に対し、国選付添人制度の対象事件を、少なくとも少年鑑別所で身体拘束を受けた全ての少年の事件に拡大するよう、すみやかに法改正を行うことを強く求める。
第2 提案理由
少年審判手続きにおいて、弁護士は、「付添人」という立場で、裁判所の事実認定や処分決定が適正に行われるよう少年に対し必要な法的援助を行い、また家庭や学校等の環境調整を行うなど少年の立ち直りを支援する活動を行っている。心身ともに未成熟であり、また取り巻く環境に恵まれていない非行少年に対し、法的な援助・支援を行う弁護士付添人の必要性は極めて高い。…
裁判員裁判において国選弁護人の複数選任を柔軟に行うよう求める決議
いよいよ本年5月21日から、裁判員裁判が開始され、さらに被疑者国選弁護制度が大幅に拡充される。
当会としては、被疑者及び被告人の刑事手続における攻撃・防御の権利が十分保障されるよう、個々の会員が努力することは当然のこととして、会としても個々の会員が十全な弁護活動ができるよう、できる限りの支援をすることを惜しまないものである。
ところで、新たに開始される裁判員裁判は、これまでどの会員も全く経験がない制度であることは論を待たない。これまで法曹三者による模擬裁判を重ね、これに弁護人役として関与した会員や、被告人役あるいは弁護人のバックアップメンバーとし…
支部及び簡易裁判所の裁判官の大幅な増員を求める決議
司法制度改革審議会は,2001年,その最終意見書において,国民が利用しやすい司法制度の大前提として,裁判所の人的基盤について「飛躍的な増大を図っていくことが必要不可欠であって,そのために,法的措置を含め大胆かつ積極的な措置をとるべきである」と提案した。
これを受けて閣議決定された「司法制度改革推進計画」では,司法の機能を充実強化するために,上記最終意見書の提案を最大限に尊重し,裁判官の大幅な増員を図ることが必要であるとした。
ところで,裁判所における新受件数は,2003年までの15年間で民事事件が2.2倍,刑事事件が1.5倍に増加したほか,10年…
国選弁護人の報酬引き下げに反対し,増額を求める決議
国選弁護人の報酬額は,2000年(平成12年)度から地方裁判所における標準的事件(3開廷)について8万6400円とされ,その後2年間据え置かれていた。ところが,本年度の政府予算では,これが8万5600円に引き下げられた。
国選弁護制度は,刑事被告人の憲法上の権利である弁護人依頼権を実質的に保障しようとする制度である。このような制度趣旨に照らせば,国選弁護人の弁護活動を十分に保障するための経済的な担保が必要不可欠であり,国選弁護人に適正な報酬が支払われることは,憲法上の要請といっても過言ではない。
現在の刑事弁護の実情としては,国選弁護人が選任され…
高金利・ヤミ金融被害根絶を求める決議
近時、正規の金融機関から融資を受けることができない状況に陥っている多重債務者の窮状に付け込み、年利1000 %を遥かに超える超高金利で貸付けを行う、いわゆる「高金利・ヤミ金融」業者による被害が急増している。
これら高金利・ヤミ金融による被害は、超高金利によって多重債務者の経済生活を圧迫・破壊するだけでなく、苛烈・過酷な脅迫的・暴力的取立により、債務者のみならず債務者の家族・親族・職場等債務者の周辺の者までをも精神的に追いつめ、債務者の生活全体を破壊するのが特徴であり、高金利・ヤミ金融による被害の撲滅は、急を要する重要課題となっている。
そこで…
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