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民事法律扶助事業に対する抜本的財政措置を求める声明

2002.05.30

民事法律扶助法は、民事法律扶助事業の統一的な運営体制の整備及び全国的に均質な遂行のために必要な措置を講ずることを国の責務とし、民事法律扶助事業の全国的に均質な遂行の実現に努めることを指定法人の義務としている。
 そして、民事法律扶助制度は、憲法第32条の「裁判を受ける権利」を実質的に保障する制度であり、平成13年6月12日に発表された司法制度改革審議会の「意見書」では、「民事法律扶助制度については、対象事件・対象者の範囲、利用者負担の在り方、運営主体の在り方等について、更に総合的・体系的な検討を加えた上で、一層充実すべきである」とし、民事法律扶助の拡充を求めている。
 ところで、民事法律扶助事業の実施の指定を受けている財団法人法律扶助協会は、国に対し、平成13年度の民事法律扶助事業の補助金として、59億8,000万円の要望をしたが、これに対する国の決定額は約28億5,500万円にとどまった。その結果、財団法人法律扶助協会は、財源不足のため、増加した事業に対応し切れず、同協会岐阜県支部をはじめ全国の各支部において受付窓口を閉鎖したり、自己破産の利用を制限したり、申込みは受け付けても扶助決定を4月以降とするなどの状況を呈するに至った。
 そこで、財団法人法律扶助協会は、法務省に対し、平成14年度の民事法律扶助事業の補助金として66億円余の予算要望を行った。しかし、平成14年度の予算は要望額の半額以下である、約30億円しか認められなかった。これでは、扶助利用の大幅増加が予測されている平成14年度は、前年度と同様、年度途中で財源不足のために、再び同協会の全国の各支部で援助申込受付を中止せざるを得ない深刻な事態となることが予想され、このままでは民事法律扶助制度は破綻し、経済的弱者の司法へのアクセスが閉ざされることとなる。
 よって、岐阜県弁護士会及び財団法人法律扶助協会岐阜県支部は、国に対し、国民の裁判を受ける権利を保障し、利用しやすい司法を実現するために、民事法律扶助事業に対する補正予算を計上するなど直ちに必要な財政措置を講ずることを強く求めるものである。

2002年(平成14年)5月30日
岐阜県弁護士会
会長 河合 良房
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