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弁護士報酬の敗訴者負担に反対する声明

2002.12.07

1. アメリカは、2月24日、イギリス・スペインと共に国連安全保障理事会に「イラクは武装解除の最後の機会を逃した」とする決議案を提出した。これは、国連は査察を直ちに打ち切り、イラク攻撃の権限をアメリカ・イギリスなどに与えるという事実上の開戦決議である。しかも、アメリカは、この決議案の成否にかかわらず武力行使に踏み切る構えである。

そして、日本政府は、一貫してこのアメリカの立場を支持し、この決議案に対しても速やかに支持を表明したばかりか、理事国への働きかけをしている。

2. しかし、国連憲章は、「われらの一生のうちに二度まで言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害から将来の世代を救う」(前文)ことを決意した上で、すべての加盟国に対し、国際的紛争の解決は「平和的手段によって且つ正義及び国際法の原則に従って実現すること」(1条1項)、「武力により威嚇又は武力の行使」は「いかなる国の領土保全に対するものも」「慎まなければならない」(2条4項)ことを明確にしている。

 さらに、これらに対する唯一の例外としての自衛権・集団的自衛権の行使についても、「武力攻撃が発生した場合に」且つ「安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間」に限られている(51条)。「先制武力攻撃」はいかなる場合にも認めていない。

3. そして、日本国憲法は、国連憲章と理念を共通にしつつ、より一層徹底し、「恒久の平和を念願し」「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意し」、「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認」(前文)した上で、「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」(9条)ことを世界に宣明している。

4. 現在の日本政府の態度・対応は、この憲法の恒久平和主義及び国際協調主義の理念に反するものである。現に、国民の多くがアメリカなどの武力行使に反対しているし、多数の地方自治体が相次いで「イラク問題」の平和的解決を求める決議をしている。

5. 当会は、平和憲法の下で、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする立場から、日本政府に対し、アメリカなどの軍事力行使には断固反対し、あくまでも「イラク問題」の平和的解決を図るため最大限の努力をされるよう強く要請する。これこそが「国際社会において名誉ある地位を占め」(日本国憲法前文)るものである。

2002年(平成14年)12月7日
岐阜県弁護士会
会長 河合 良房
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