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憲法改正国民投票法案に対する会長声明

2006.10.16

教育基本法改正案が臨時国会で審理され,本年11月15日に衆議院特別委員会において与党単独で強行採決がなされ,今日にも衆議院を通過すると報道されている。
 ところで,当会は,教育基本法改正案につき,本年6月3日に改正に反対する旨の会長声明を発しているところである。その趣旨は,第1に,教育基本法は教育の根幹に関わる基本的な法律であるところ,その法案化の過程で情報が十分国民に公開されておらず,国民の十分な議論が保障されていなかったこと,第2に,なぜ今教育基本法の改正が必要であるのかの理由が明確でなく,「いじめ」などの深刻な問題が教育基本法の不備や欠陥によるとの検証がなされていないこと,第3に,改正案に,国と郷土を愛する態度を養うなどを教育の目標と掲げ,内心の自由に抵触する恐れがあること,公益や国益を強調し,個人の尊厳を後退させる恐れがあること,現行教育基本法10条の保障する「教育の独立・中立」を脅かす恐れがあることなどの看過できない問題点があることである。教育基本法改正に関するこれらの問題点は現在においても改善されていない。
 最近,全国各地において,「いじめ」で生徒が自殺したり,高校において教育指導要領に反した授業が広く行われていた事例などが発生し,国民の間に教育及び教育現場のあり方について深刻な問題を投げかけており,これらを含めた教育問題全体についての協議が必要とされている。
 しかし,今回の教育基本法の改正にあたり,わが国の教育問題をどのように解決し,そのためにこの改正案がどのような効用を有するのか,未だ国民に明らかにされているとは言えない。特に,これまでの改正論議では,国民に十分な情報を提供し,議論を尽くしているとはいえず,最近では,政府主催の教育改革タウンミーティングでの「やらせ質問」問題まで発覚した。
 以上のとおり,当会としては,改正案には,憲法上の疑義や,未だ十分検討されていない事項もあり,政府は徒にその成立を急ぐことなく,国民的コンセンサスを得る努力を払うべきであり,今国会における拙速な可決・成立には強く反対する。

2006(平成18)年10月16日
岐阜県弁護士会
会長 武藤 壽
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