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憲法改正国民投票法案の慎重審議を求める会長声明

2007.04.14

当会は、2005年10月1日、憲法調査推進議員連盟の日本国憲法改正国民投票法案に若干の修正を加えた与党の法案骨子について、同骨子の問題点を指摘し、同案に基づく法案の国会上程に反対する声明を発表した。また、当会は、2006年10月16日、与党提出の法律案及び民主党提出の法律案に反対する声明を発表した。
 その後、与党により民主党案をふまえた修正案の提出がなされ、今国会中にも法案成立の可能性が高いとの報道がなされている。修正案では、広報協議会が行う広報において賛成意見と反対意見を平等に扱うものとし、国民投票運動禁止の範囲を限定するなどの修正がなされているが、それでもなお、問題点の解消は不十分であって、国民主権、基本的人権の保障という憲法の基本原則からして重大な問題点を残している。
 具体的には、?@国民投票までの期間が国会による発議後最短60日以内とされていて、国民的議論を尽くすには短すぎること、?A各条項ごと又は問題点ごとに個別の賛否の意思を問う投票方法をとることが明確にされておらず、一括投票の余地を残していて、国民の意思を正確に反映しないおそれがあること、?B罰則はないものの、公務員及び教育者の「影響力」を利用した国民投票運動が禁止されており、「影響力」というあいまいな文言による規制が表現行為の萎縮効果を生じさせかねないこと、?C広報協議会の構成委員を、各議院における各会派の所属議員数の比率により割り当てて選任するものとしていて、反対意見が適切に反映されないおそれがあること、?D最低投票率の定めがなく、少数の賛成によって憲法改正がなされるおそれがあること、?E投票日前14日間を除いて広告放送に何らの制約も設けられておらず、資金力のある者のみの広告放送によって、国民の冷静な議論による意思形成が妨げられるおそれがあること、?F国民投票無効訴訟の提訴期間を30日以内とし、一審の管轄裁判所を東京高等裁判所に限定し、国民投票の無効事由も限定していて、不公正な憲法改正を防いで国民の権利を擁護する最後の砦である裁判所の機能が制限されていることなどの重大な問題点がある。
 このように現在審議されている法案には問題があるので、当会は、憲法改正国民投票法の制定の必要性の有無及び国民主権主義に基づいた真に国民のための憲法改正国民投票法とはどういうものかについて議論を十分尽くすよう、慎重な審議がなされることを求めるものである。

2007(平成19)年4月14日
岐阜県弁護士会
会長 渡邊 一
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