「法曹の養成に関するフォーラム」の公開を求める会長声明
本年5月13日、政府は「法曹の養成に関するフォーラム」の開催を発表した。
フォーラムにおいては、司法制度改革の理念を踏まえ、法務省及び文部科学省による「法曹養成制度に関する検討ワーキングチーム」の検討結果(平成22年7月6日)と司法修習給費制の1年間の延長を決めた裁判所法一部改正の際の衆議院法務委員会決議(同年11月24日)に基づき、【1】給費制の存廃問題を含む法曹養成課程への経済的支援の在り方、【2】法曹人口問題を含む法曹養成制度全体の在り方が検討されることとなっている。
フォーラムは、次代を担う法曹をいかに養成するかという点について議論するものであり、法曹界のみならず、社会全体にとっても極めて重要な会議である。
ところが、発表されたフォーラムの「検討の進め方」によると、「会議は非公開とする」とされ、議事内容については「原則として、会議終了後速やかに議事録を作成して公表する」とするにすぎない。議事録公表で足りるということかもしれないが、議事録は作成の仕方によっては議論の過程が全く国民に伝わらない。そもそも、このような重要な会議を非公開とする合理的理由は全く見出せない。
昨年来、当会は、街頭宣伝活動や市民集会を通じて、司法修習生の給費制維持を訴えてきた。それは、給費制が維持されることによる真の受益者は国民である、という信念に基づく。すなわち、給費制を維持することにより、公費で育ててもらったという自覚と責任を法曹1人1人に芽生えさせ、それが、やがては基本的人権の擁護及び社会的正義の実現に結実する。このように、給費制の真の受益者は国民なのである。
給費制の存廃に関する議論の過程を公開しないということは、受益者たる国民をないがしろにするものであって許されない。
そもそも、国民にとっては、司法修習制度や給費制という制度になじみが薄い。そのようななじみの薄い司法修習制度や給費制について、受益者たる国民が正しく理解するためにも、議論の過程は公開されなければならない。
平成21年5月より、裁判員裁判が実施されている。裁判員裁判については課題もあるものの、「国民に開かれた司法」を実現した意義は非常に大きい。このような、「国民に開かれた司法」という今日的潮流に対し、フォーラムの非公開は真っ向から逆らうものであり、到底容認できるものではない。法務省及び文部科学省による「法曹養成制度に関するワーキングチーム」の検討結果も、フォーラムのあり方について「関係者の間だけで検討するのではなく、国民に開かれた議論の場を設け、正確かつ十分な現状分析を行い、幅広い意見を聞いて総合的かつ多角的な検討を行えるようにする必要がある」と指摘しているところである。
よって、当会は、フォーラムを構成する関係諸機関及び有識者に対し、会議を公開し、国民に開かれた審理を行うよう強く求めるものである。
岐阜県弁護士会
会長 古田 修
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