岐阜県弁護士会

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「袴田事件」の速やかな再審公判開始及び袴田巖氏の雪冤を求める会長声明

2023.07.11

 本年3月13日、東京高等裁判所(大善文男裁判長)は、いわゆる「袴田事件」の第二次再審請求事件について、静岡地方裁判所の再審開始決定を支持して、検察官の即時抗告を棄却する決定をし、検察官が特別抗告を断念したことにより再審開始決定が確定した。
「袴田事件」は、1966年(昭和41年)6月30日未明、旧清水市(現静岡市清水区)の味噌製造会社専務宅で一家4名が殺害された強盗殺人・放火事件であり、1980年(昭和55年)12月12日、死刑判決が確定した。袴田氏は、1981年(昭和56年)4月に、第一次再審請求を申し立てたが、2008年(平成20年)3月に最高裁…

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特定少年の実名等の公表及び推知報道を控えることを求める会長声明

2023.07.10

1 「少年法等の一部を改正する法律」(令和3年法律第47号、以下「改正少年法」という。)により、18歳又は19歳の少年(以下、「特定少年」という。)について、特定少年のとき犯した罪により公判請求(起訴)された場合において、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならないとする推知報道の禁止が解除された(同法68条本文、同61条)。
2 令和5年7月3日と同月4日、岐阜県内で少年4名(うち、特定少年2名)を含む5名が起こしたとされる事件の特定少年2名につい…

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低賃金労働者の生活を支え地域経済を活性化させるために岐阜県の最低賃金額の大幅引上げと地域間格差是正を求める会長声明

2023.07.10

1 長期に及ぶ新型コロナウイルスの影響とロシアのウクライナ侵攻の中で、食料品や光熱費など生活関連品の価格が急上昇している。
2022年度の全国消費者物価指数は、天候による変動が大きい生鮮食料品を除いた指数が前年度比3.0%と41年ぶりの記録的な大幅上昇となった。大手食品会社などが今後のさらなる値上げを発表しているなど、急激な物価高騰の傾向は今年も続く見込みである。
労働者の生活を守り、経済を活性化させるためには、企業や事業主への支援と並行して、全ての労働者の実質賃金の上昇を実現することが必須である。そして、賃金の底上げのためには、最低賃金額を大きく引…

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少年事件の実名等の報道に強く抗議し、少年法第61条の遵守を求める会長声明

2023.06.23

 株式会社新潮社は、「週刊新潮」2023年6月29日号において、本年6月14日に岐阜市の陸上自衛隊射撃場で発生した自動小銃による殺傷事件に関し、被疑者とされた18歳の少年の実名及び顔写真を掲載した。
 少年法第61条は、少年の氏名、年齢、容ぼう等により当該事件の本人と推知できるような記事又は写真の出版物への掲載(以下「推知報道」という。)を禁止している。2022年4月1日に施行された少年法等の一部を改正する法律(以下「改正少年法」という。)により、18歳及び19歳のときに罪を犯した場合において推知報道禁止が一部解除されるに至ったが、あくまでも家庭裁判所…

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供述記録媒体の証拠化に関する会長声明

2023.06.19

1 閣議決定された供述記録媒体を証拠化する法律案
2023(令和5)年3月14日に刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案(以下「法律案」という。)が閣議決定された。そのうち「被害者等の聴取結果を記録した録音・録画記録媒体に係る証拠能力の特則の新設」では、一定の聴取対象者の取調べの全過程を録音・録画した記録媒体について、一定の条件のもと、その記録媒体を主尋問に代え、その記録媒体を公判廷で取り調べた後、訴訟関係人に対し、その聴取対象者を証人として尋問する機会を与え、証拠能力を付与する案が示された。聴取対象者としては、「犯罪の性質、供述者の年齢、心身の状態…

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「オンライン接見」の実現を求める会長声明

2023.06.19

1 検討会
法務省の検討会(「刑事手続における情報通信技術の活用に関する検討会」、以下「検討会」という。)は、2021(令和3)年3月より、刑事手続におけるIT技術の導入に関する議論を行い、その結果を2022(令和4)年3月15日付け「取りまとめ報告書」(以下「報告書」という。)にて発表した。報告書では、「書類の電子データ化、発受のオンライン化」「捜査・公判における手続の非対面化・遠隔化」が検討事項として挙げられている。その中の「被疑者・被告人との接見交通について」の項目では、弁護人と被疑者・被告人との非対面・遠隔での接見を可能にするため、ビデオリンク…

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出入国管理及び難民認定法改正案に反対する会長声明

2023.05.10

1 政府は、本年(2023年)3月7日、出入国管理及び難民認定法改正案(以下「本改正案」という。)を国会に提出し、5月9日に衆議院の本会議で可決された。
本改正案は、2021(令和3)年の通常国会で廃案になった出入国管理及び難民認定法の改正案(以下「旧法案」という。)について、その骨子を変えないままに再提出されたものである。
当会は、旧法案に対して反対意見を述べた(同年2月5日付け「送還忌避罪を創設する等の入管法改正に反対する会長声明」)。本改正案についても、旧法案に対する懸念は払拭されていない。特に、以下の問題点は深刻である。
2 本改正案におい…

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いわゆる「谷間世代」への一律給付実現を求める会長声明

2023.03.07

 司法修習制度は、我が国の三権の一翼を担う法曹を要請するために設けられた制度であり、司法試験に合格した者は、原則として司法修習を経なければ実務法曹となる資格を得ることができない。司法修習では、法曹が司法の担い手として公共的使命を負っていることを自覚させるとともに、法曹として十分な知識と実践力を備えさせるため、修習専念義務を課して兼業・兼職を禁止する一方で、司法修習生に公務員に準じた給与を支払う給費制が採用されてきた。
この給費制は終戦直後の1947年から60年以上に渡って維持されてきたが、2011年11月、司法制度改革の名のもとに廃止され、修習生は自己…

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日野町事件について検察官に対し特別抗告しないことを求める会長声明

2023.03.03

 日野町事件の再審手続において、2023(令和5)年2月27日、大阪高等裁判所(石川恭司裁判長)は、原審大津地方裁判所による再審開始決定を維持し、同決定に対する検察官の即時抗告を棄却した(以下、「本決定」という。)。
 日野町事件は、滋賀県蒲生郡日野町で1984(昭和59)年、酒店経営の女性(当時69歳)が殺害されて金庫が奪われた強盗殺人事件であるとされる。逮捕、起訴された阪原弘氏は、捜査段階で自白させられ、公判で否認に転じるも、1995(平成7)年に大津地裁で無期懲役の有罪判決を受けた。同判決は2000(平成12)年に最高裁で確定した。その後、日弁連…

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SNS事業者の本人確認義務等に関する意見書

2023.01.24

第1 意見の趣旨
1 総務省、消費者庁及び消費者委員会に対し、①ソーシャルネットワーキングサービス(以下、「SNS」という)が詐欺行為や消費者被害(以  下、「詐欺行為等」という。)の誘引手段として使用されている実態、②特に利用者の登録時に本人確認を十分に実施していないSNSが詐欺行為等の誘引手段として多用されている実態、③SNS事業者による本人確認記録の保管状況、④SNS利用者を特定する情報について弁護士法23条の2に基づく照会がされた場合のSNS事業者の対応状況等について調査するよう求める。
2 総務省に対し、第1項記載の調査を踏まえ、SNS事業…

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内閣による閣議決定のみに基づき一般予備費からの支出にて「国葬儀」を実施することに反対する会長声明

2022.09.07

1 はじめに
  政府は2022年7月22日、安倍晋三元内閣総理大臣(以下「元首相」という。)の「国葬儀」を日本武道館で本年9月27日に実施することを閣議決定した(以下「本件国葬儀」という。)。
    しかし、「本件国葬儀」については、以下のとおり、国の儀式として閣議決定を根拠に「国葬儀」を行うことが可能であるとする政府見解を疑問視する見解が多数存すること、閣議決定に基づき一般予備費からの支出にて「本件国葬儀」を実施することは財政民主主義の観点から問題があること、国の儀式として「国葬儀」を実施することは思想及び良心の自由の観点から少なからぬ問題があ…

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法律事務所への捜索についての判決に関する会長声明

2022.09.07

 2022年7月29日、東京地方裁判所(以下「東京地裁」という。)は、法律事務所への捜索に係る国家賠償請求訴訟の判決において、検察官らによる捜索が刑事訴訟法の押収拒絶権の趣旨に違反する不適法なものであったと判断した。
 本件訴訟は、2020年1月29日、東京地方検察庁(以下「東京地検」という。)の検察官らが、出入国管理及び難民認定法違反等被疑事件の関係先として、関連事件の弁護人であった弁護士らの法律事務所を訪れ、同弁護士らが刑事訴訟法105条に則り押収拒絶権を行使し、立入りを拒んだにもかかわらず、裏口から法律事務所に侵入し、捜索した行為(以下「本件捜索…

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「大崎事件」再審請求棄却決定に抗議する会長声明

2022.08.08

 鹿児島地方裁判所(中田幹人裁判長)は、2022年(令和4年)6月22日、いわゆる大崎事件第4次再審請求事件につき、原口アヤ子氏(以下「アヤ子氏」という。)について再審請求を棄却する決定をした(以下「本決定」という)。
 大崎事件は、1979年(昭和54年)、鹿児島県大崎町において牛小屋から遺体が発見されたことに端を発し、アヤ子氏、その当時の夫及び義弟が殺人・死体遺棄の、義弟の子が死体遺棄の罪に問われた事件である。アヤ子氏は一貫して無罪を主張したが、懲役10年の有罪判決を受け服役した。有罪の有力な証拠とされたのは、「共犯者」とされた3名の自白であった。…

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低賃金労働者の生活を支え地域経済を活性化させるために岐阜県の最低賃金額の大幅引上げと地域間格差是正を求める会長声明

2022.07.08

1 新型コロナウイルスの感染蔓延が長期化し、岐阜県内においても地域経済に大きなダメージを与え続けている。
感染蔓延や感染拡大防止対策の影響により、経営破綻した企業や事業主もあり、企業、事業主への支援が必要であることは言うまでもない。
他方で、県民の生活を守り、地域経済を活性化させるためには、地域経済を担う労働者に対する支援も不可欠である。
公益財団法人連合総合生活研究所の第42回勤労者短観報告書(2021年12月)によれば、岐阜県を含む中部では、1年前と比較して世帯収入が「減った」との回答が33.6%に及び全国9ブロックの中でも高い水準となっている…

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岡口基一裁判官の弾劾裁判につき罷免しないことを求める会長声明

2022.06.09

1 弾劾裁判の状況
裁判官訴追委員会は,2021年6月16日岡口基一裁判官(以下「岡口裁判官」という。)の罷免を求め,裁判官弾劾裁判所に訴追した。2022年3月2日,弾劾裁判の初公判が開かれ,岡口裁判官は反省の弁を述べ,岡口裁判官の弁護団は罷免を争う姿勢を示した。
 
2 司法権の独立及び裁判官の身分保障
憲法は,多数決原理によって権利を侵害された少数者の人権を保障するため,権力分立の原理により,司法権を裁判所に与えている。そして,国家権力の干渉を排して少数者の人権を保障するために,司法権の独立を定めている(憲法76条3項)。国家権力に…

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ロシア連邦によるウクライナへの軍事侵攻に抗議する会長声明

2022.03.25

2022年2月24日,ロシア連邦(以下「ロシア」という。)はウクライナに対する軍事侵攻を開始した。さらにプーチン大統領は,核戦力を含むロシア軍の戦力を特別態勢にするよう命令した。今もなおロシア軍による攻撃は続いており,ウクライナの国土が破壊され,兵士だけでなく,子どもらを含む民間人に多数の死傷者を出している。
 ロシアの侵攻は,国際連合憲章が定める「すべての加盟国は,その国際関係において,武力による威嚇又は武力の行使を,いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも,また,国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。」…

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大垣警察署における特別公務員暴行陵虐被疑事件に対する会長声明

2022.02.22

 本年2月2日、岐阜県警察大垣警察署留置管理課に所属する男性警察官が、同署内の留置場に勾留されていた女性に対し繰り返しわいせつ行為を行っていたとの報道があり、同月4日には、同署留置管理課に所属する巡査長が特別公務員暴行陵虐の疑いで逮捕されたとの報道がなされた。
 特別公務員暴行陵虐罪は刑法の中で汚職の罪の章に規定されており、その保護法益は、第一次的には、公務執行の適正とこれに対する国民の信頼であるとされている。また、本罪の主体である留置担当官等は、被留置者を実力的に支配する関係に立つものであって、その職務の性質上、被留置者に対して職務違反行為がなされる…

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成年年齢引下げに伴う消費者被害防止のための実効性ある施策の実現を求める会長声明

2021.08.06

成年年齢引下げに伴う消費者被害防止のための実効性ある施策の実現を求める会長声明

民法の成年年齢を20歳から18歳に引き下げる「民法の一部を改正する法律」(平成30年法律第59号。以下「本法律」という。)の2022年(令和4年)4月1日の施行日まで8か月を切った。

民法の成年年齢引下げについての2009年(平成21年)10月の法制審議会の意見は、成年年齢の18歳への引下げを適当としながらも、その前提条件として、①若年者の自立を促すような施策や消費者被害の拡大のおそれを解決する施策が実現されること、②施策の効果が十分に発揮されること、③施策の効果…

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低賃金労働者の生活を支え、コロナ禍の地域経済を活性化させるために 岐阜県の最低賃金額の引上げと格差是正を求める会長声明

2021.07.12

低賃金労働者の生活を支え、コロナ禍の地域経済を活性化させるために岐阜県の最低賃金額の引上げと格差是正を求める会長声明
1 昨年春に始まった新型コロナウイルスの感染拡大は、岐阜県内でも大きく影響し、地域経済には大きなダメージが生じている。
  新型コロナウイルスの感染拡大又はその防止策により経営状態に大きな影響を受けている企業や事業主が存在し、企業や事業主に対する支援が必要であることは言うまでもない。
他方で、労働者に対する支援も置き去りにされてはならない。
労働者の生活の安定と地域経済の活性化のためには、最低賃金引上げの流れを止めてはならない。

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重要土地等調査規制法案に反対する会長声明

2021.06.08

重要土地等調査規制法案に反対する会長声明
 本年6月1日に、「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び規制等に関する法律案」(重要土地等調査規制法案)が衆議院本会議で可決され、現在、参議院において審議中である。
 本法案の大きな問題点の1つは、内閣総理大臣が、「重要施設」の敷地・周囲約1キロメートルの土地や「国境離島等」を「注視区域」(あるいは「特別注視区域」)として指定し、当該区域内の土地・建物の「利用者その他の関係者」についての情報を収集する権限を得ることである。
 「重要施設」のリストには、自衛隊、米軍、海上保安庁の施設の…

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