現在国会で審議されている7項目のみの憲法改正手続法改正案に反対し、改めてその抜本的な改正を求める会長声明
現在国会で審議されている7項目のみの憲法改正手続法改正案に反対し、改めてその抜本的な改正を求める会長声明
本年5月11日、日本国憲法の改正手続に関する法律(以下「憲法改正手続法」という。)の改正案が衆議院本会議で可決され、参議院において審議入りし、現在参議院憲法審査会で審査がなされている。本改正案は、2016年の公職選挙法の改正(名簿の閲覧、在外名簿の登録、共通投票所、期日前投票、洋上投票、繰延投票、投票所への同伴)の7項目にそろえて、憲法改正手続法も改正し7項目に関する規定を整備するものである。
当会は、憲法改正手続法の制定に関…
送還忌避罪を創設する等の入管法改正に反対する会長声明
送還忌避罪を創設する等の入管法改正に反対する会長声明
法務大臣の私的懇談会である出入国管理政策懇談会の下に設置された収容・送還に関する専門部会(以下「本専門部会」という。)は,2020年6月19日,「送還忌避・長期収容問題の解決に向けた提言」(以下「本提言」という。)を発表し,7月14日,本提言が法務大臣に提出された。今後は,本提言を踏まえた形で「出入国管理及び難民認定法」(以下「入管法」という。)の改正に向かうことが予想されている。
本専門部会は,2019年6月に大村入国管理センターで起きた長期被収容者の餓死事件と,これに対する抗議活動等を契機…
少年法改正に関する法制審議会答申に反対する会長声明
少年法改正に関する法制審議会答申に反対する会長声明
2020年10月29日,法制審議会は少年法に関する改正案を答申した(以下,「答申」という。)。答申は「18歳及び19歳の者に対する処分及び刑事事件の特例等」に関し,これらの者の被疑事件について家庭裁判所への全件送致を維持した点は評価できる。しかし,それ以外の部分については,以下に指摘する点を中心に多くの問題点を含むものである。
1.原則逆送事件の範囲を拡大している点
答申は,18歳及び19歳の者について,犯罪の嫌疑がある場合は全ての事件を家庭裁判所に送致し,家庭裁判所が調査をしたうえで処分を決定…
学術会議会員任命拒否に抗議する会長声明
学術会議会員任命拒否に抗議する会長声明
1 2020年10月1日、菅義偉首相は、日本学術会議が推薦した同会議の第25期新規会員候補者105名のうち6名の任命を拒否した(以下、「任命拒否」という)。同会議は、同月2日付で、菅首相に対し、上記6名が任命されなかった理由の説明と、上記6名の速やかな任命を求める要望書(以下「要望書」という。)を提出した。これに対する菅首相の「説明」は、「総合的、俯瞰的活動を確保する観点から判断をした」と云うものである。
2 日本学術会議法は、日本学術会議を「わが国の科学者の内外に対する代表機関」とし、「科学の向上発達を図り、…
国家公務員法等の一部を改正する法律案のうち、検察官の勤務延長の特例措置に関する部分の改正に反対する会長声明
国家公務員法等の一部を改正する法律案のうち、検察官の勤務延長の特例措置に関する部分の改正に反対する会長声明
1 内閣は、2020(令和2)年3月13日、国家公務員法等の一部を改正する法律案を閣議決定し、これを国会に提出した。同法律案は、新型コロナウイルス対策急務の中、同年4月16日、衆議院本会議で審議入りした。
同法律案には、検察庁法の改正も含まれており、その内容は、①検察官の定年を63歳から65歳に延ばす、②次長検事、高検検事長、地検検事正ら幹部は63歳になると役職を退く(役職定年制)を設ける、③ただし、政府が「公務の運営に著しい…
検事長の定年延長に関する閣議決定の撤回を求める会長声明
検事長の定年延長に関する閣議決定の撤回を求める会長声明
1.政府は,2020(令和2)年1月31日の閣議で,同年2月7日に63歳の定年を迎えることになっていた東京高等検察庁検事長について,同年8月7日までの定年延長を決定した。さらに,同年2月18日には,定年延長後の同検事長を検事総長に任命することも可能であるとの見解を示す閣議決定もしている。
そして,国会において,安倍首相と森法務大臣は,検察官には国家公務員法第81条の2の定年退職の規定は適用されないが,同条を前提にした同法第81条の3による退職の特例としての勤務延長の規定は適用できると解釈変更し…
中東海域への自衛隊派遣の中止を求める会長声明
1 2019年12月27日、日本政府は、日本関係船舶の安全確保に必要な情報収集活動を目的として、中東アデン湾等へ護衛艦1隻を派遣すること、及び海賊対策のためにソマリア沖に派遣中の固定翼哨戒機P-3Cを活用することを閣議決定した(以下「本件派遣」という。)。それを受け、2020年1月11日に固定翼哨戒機P-3C2機が、同年2月2日に護衛艦「たかなみ」がそれぞれ中東へ派遣された。
2 防衛省によれば、本件派遣は、防衛省設置法第4条第1項第18号の「調査及び研究」を根拠とするとしている。しかし、同条は防衛省のつかさどる事務として定めているものであり、自衛隊を…
刑事被告人の元弁護人の法律事務所への捜索に抗議する会長声明
刑事被告人の元弁護人の法律事務所への捜索に抗議する会長声明
2020年1月29日,東京地方検察庁(以下「東京地検」という。)は,東京地方裁判所裁判官が発付した令状に基づき,出入国管理法違反等被疑事件の関係先として,関連事件の弁護人であった弁護士の法律事務所を捜索し,被疑者(関連事件では被告人)の保釈中の面会記録を押収した。
日本弁護士連合会の調査によれば,本件では,弁護士が刑事訴訟法105条に基づき押収拒絶権を行使し,東京地検の検察官らが法律事務所内へ立入ることを拒否したにもかかわらず,同検察官らは,法律事務所の裏口から無断で事務所内に侵入した。…
「表現の不自由展・その後」をめぐる情勢に関する会長声明
「表現の不自由展・その後」をめぐる情勢に関する会長声明
1 国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」は、開始わずか3日で中止となったものの、その後、本年10月8日に再開され、大きな混乱もなく閉会となった。この間、再開に向けた大村秀章愛知県知事をはじめと関係各位のご努力に敬意を表する。
2 他方、河村たかし名古屋市長は、展示中止発表前日の本年8月2日、「日本国民の心を踏みにじる行為」などと述べて、大村知事に対し展示中止などを求める抗議文を提出するとともに、再開にあたっても会場前で座り込むなどして、反対した。
言…
岐阜県の最低賃金額の大幅な引上げを求める会長声明
岐阜県の最低賃金額の大幅な引上げを求める会長声明
1 現在、岐阜県の地域別最低賃金は1時間825円であり、全国加重平均である874円を50円ほど下回っている。
2 地域別最低賃金は、中央最低賃金審査会における最低賃金改定の答申を受けて行われる各都道府県の地方最低賃金審議会での審議の結果を踏まえて、各都道府県の労働局長において定められるものである。
我が国の最低賃金制度は、賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もって、労働者の生活の安定等に資することを目的としている(最低賃金法1条)。
しかしながら、我が国の貧困率は15.6パーセ…
「谷間世代」の不平等の是正を求める会長声明
「谷間世代」の不平等の是正を求める会長声明
戦後,1947(昭和22)年に司法修習制度が開始してから,司法修習生に対しては国費から給与が支給されてきた。この給費制は,司法制度の根幹を担う法曹を養成するための社会的インフラを提供するために,公費をもってその費用を賄う制度として機能していた。また修習専念義務のもと兼業が禁止される司法修習生の生活を支えるためにも給費制は必要とされた。
ところが,国は,財政的負担を理由に2011(平成23)年11月に給費制を廃止した。司法修習生は無給とされ,希望者に所定額を貸し付ける貸与制に転換された。修習生の経済的基盤…
岐阜県の最低賃金額の大幅な引上げを求める会長声明
岐阜県の最低賃金額の大幅な引上げを求める会長声明
1 現在、岐阜県の地域別最低賃金は1時間800円であり、全国加重平均である848円を50円ほど下回っている。
2 地域別最低賃金は、中央最低賃金審査会における最低賃金改定の答申を受けて行われる各都道府県の地方最低賃金審議会での審議の結果を踏まえて、各都道府県の労働局長において定められるものである。
我が国の最低賃金制度は、賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もって、労働者の生活の安定等に資することを目的としている(最低賃金法1条)。
しかしながら、平成28年国民…
生活保護基準の引下げを行わないよう求める会長声明
政府は,2017年12月22日,2018年度から生活扶助基準本体等を大幅に引き下げる予算案を閣議決定し,現在国会において審議が行われている。これは2004年からの老齢加算の段階的廃止,2013年からの生活扶助基準の削減(平均6.5%,最大10%),2015年からの住宅扶助基準・冬季加算の削減に引き続くものである。
今回の引下げの考え方は,社会保障審議会における審議結果を踏まえ,一般低所得世帯の消費実態を反映させるというものであり,2017年12月8日に示された第35回社会保障審議会生活保護基準部会案は,生活保護基準を第1・十分位層(所得階層を10に…
「テロ等準備罪」法案の成立に抗議する会長声明
1 平成29年6月15日、「テロ等準備罪」を創設する組織犯罪処罰法の改正案について、参議院本会議での採決を強行し、同法案を可決・成立させた。
2 「テロ等準備罪」については、衆議院での議論によっても、処罰範囲は曖昧なままであり、不明確な点が多々残されたにもかかわらず、採決が強行された。
参議院においては、より慎重に審議し、国民の理解を深める必要があった。そうであるのに、法務委員会での採決を省略するという異例の手続をとり、参議院本会議での採決を強行した。
これら両院の姿勢は、憲法が規定する国権の最高機関であり国民の代表機関であることを放棄するに等…
衆議院における「テロ等準備罪」の採決の強行に抗議する会長声明
1 衆議院は、「テロ等準備罪」を創設する組織犯罪処罰法の改正案について採決を強行し、同法案は平成29年5月23日に衆議院を通過した。
2 政府は、「テロ等準備罪」について、テロ等防止には国際組織犯罪防止条約の批准が必要で、条約批准に向けて立法措置が必要と説明してきた。しかし、当該条約は、金銭的利益その他の物質的利益を得るために犯罪を行うマフィアのような犯罪組織による犯罪防止・措置について国際協力を推進するものである。テロ等対策のために本条約を批准し、条約批准のため立法措置を講じる必要性についての審議が充分行われていない。
3 また政府は、主体を組織的…
「テロ等準備罪」上程の閣議決定に反対する会長声明
…
「テロ等組織犯罪準備罪」の創設に反対する会長声明
1 政府は、いわゆる共謀罪を「テロ等組織犯罪準備罪」と名称を改めてとりまとめ、次期通常国会に提出する旨報じられている。
2 共謀罪は、何ら実行行為がなくとも、共謀が成立しただけで処罰するというものであり、共謀そのものを実行行為とする。しかし、現行刑法は法益の保護を目的とするものであり、法益侵害ないしその可能性がなければ原則として刑罰の対象としていない。すなわち、現行刑法は刑罰の対象を既遂に限定し、一部の犯罪のみを例外的に未遂で処罰し、さらに一部の重大犯罪のみを予備で処罰するという体系をとっている。共謀罪は、法益侵害の可能性がない共謀段階でも処罰すると…
成年後見制度の利用の促進に関する法律に対する会長声明
1 2016年4月8日、第190回通常国会において、成年後見制度の利用の促進に関する法律(以下「法」という)が成立し、これに基づく民法の一部改正が行われた。
2 同法は、成年後見制度が、認知症、知的障害その他の精神上の障害があることにより、財産の管理や日常生活に支障がある者を支える重要な手段であるにも関わらず、十分に利用されていないことに鑑み、成年後見制度の利用の促進に関する施策を、総合的かつ計画的に推進することを立法趣旨にしている。
超高齢社会がますます進んでいく中で、認知症高齢者もさらに増加していくこと、知的障害者や精神障害者の親亡き後の問題…
憲法に緊急事態条項を創設することに反対する会長声明
1 2012(平成24)年4月に自民党が公表した日本国憲法改正草案(以下「自民党改憲草案」という。)には、緊急事態条項(第98、99条)が盛り込まれている。しかし、以下に述べるように、かかる緊急事態条項は、立憲主義の趣旨に反するものである。
2 自民党改憲草案の緊急事態条項は、いわば行政に立法権を付与するものであり、国民主権・議会制民主主義・権力分立という憲法秩序が停止されることにより、政府への権力の集中と強化をもたらし、その結果、権力の濫用により国民の自由や権利が侵害される危険性が高い。加えて、緊急事態条項があるために、裁判所の違憲立法審査権による…
消費者庁・国民生活センター・消費者委員会の地方移転に反対する会長声明
政府は、「まち・ひと・しごと創生本部」に「政府関係機関移転に関する有識者会議」(以下「有識者会議」という)を設置し、本年3月には基本方針を決定することとしている。その中で、徳島県からの提案を受け、消費者庁の全部(内閣府消費者委員会を含む)と国民生活センターの全部を同県に移転することが検討されている。
しかし、当会は、以下の理由により、消費者庁、国民生活センター及び消費者委員会の地方移転に反対する。
1 はじめに
政府関係機関を地方に移転する取り組み自体は、地方の活性化等に資する場合もあると思われ、当会としては、そのような取り組みの全てに反対する…
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